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相談員から一言 バックナンバー

『ストレスと免疫力』

 ストレスとはカナダの生理学者ハンス・セリエ博士によって初めて称されたもので、精神緊張・心労・苦痛・寒冷・感染などごく普通に見られる刺激(ストレサー)に対 する身体の非特異的な反応です。

 人は日常生活の中で様々なストレスを受けています。先のセリエ博士は「ストレス は人生のスパイスである」と言っています。

 適量なスパイスは料理を一層美味にするのと同じように、適度なストレスは緊張感 や能力を高め、困難を克服し目標達成の充実感は人生にメリハリを与え、人間の成長 にもつながり無くては成らないもので、良い効果もあります。

 しかしながら大きく長く続くストレは色々な面で悪影響を及ぼします。

 今年は東日本大震災がありました。被災地の方々はとても言葉では言い尽くせないほどの大きなストレスを受けられたと思います。また被災地のみならず、日本全体で就業問題、健康問題、食の安全など大きなストレスが襲いました。

 その後も台風などの被害もあり未だに多くの方がストレスフルな状態だと思います。

 ストレスはこれからの季節流行するインフルエンザを始め、色々な感染症に対する免疫力にも影響を及ぼします。

 免疫力とは体内に侵入した細菌やウイルス、腫瘍などを排除する力です。

 免疫システムを担っているのは免疫細胞である白血球です。
 白血球は主にリンパ球、顆粒球、マクロファージの三種の免疫細胞が存在します。

 リンパ球は免疫担当細胞であるナチュラルキラー細胞にも関係しています。

 免疫システムも自律神経支配を受けています。活発な状態では交感神経が優位になり顆粒球の比率が上昇、穏やかな状態では副交感神経が優位となりリンパ球の比率が上昇します。

 ストレスが過度になれば自律神経のバランスが崩れ自律神経失調症や心身症、神経症といった心理的・身体的症状があらわれるようになります。

 また「テストの前になると必ず風邪をひく」「寝不足が続いたら風邪をひいた」 「嫌なことが続くと頭痛が起こる」など経験したことがありませんか?

 私たちが持続的な強いストレスを受けると、脳からストレスに反応してステロイドホルモンや神経伝達物質が分泌され、白血球中のリンパ球や細胞の働きを低下させます。(動物実験で実証)
では免疫力を上げるためにはどうしたらよいでしょうか。

 バランスの良い食事、充分な睡眠、軽い運動が良いとされています。

 避難所でも「ストレスは免疫力の大敵」「ストレスを抱え込まないで適度な運動を」と呼びかけていました。

 また笑顔をこころがける事も免疫力アップにつながります。笑うと免疫細胞であるナチュラルキラー細胞が活躍します。

 「ワハハ」と笑えば、50億個の「ナチュラルキラー細胞」が一斉に元気になります。

 作り笑いでも免疫力が上がることが報告されていますので、悲しい時、困った時でも笑顔を作ってみるのも良いかもしれません。

 毎日の生活を笑顔で乗り切っていきましょう。
 
(文責)相談員  三澤 眞理子
独立行政法人 労働者健康安全機構
神奈川産業保健総合支援センター
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