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産業保健看護職のひろば

相談員コラム

脳・心臓疾患リスク社が無料で受けられる再検査
2020-11-20
― 脳・心臓疾患リスク者が無料で受けられる再検査 ―
 
産業保健専門職 西尾 泉
 
 定期健康診断での有所見率が平成20年に50%を超え、現在まで増加を続けています。(令和元年の全国の有所見率は56.6%、神奈川は57.1%)
 他方、過重労働による脳・心臓疾患等の労災支給決定(認定)件数も平成14年に300件台を超えて以降、現在でも200~300件台前半で推移し、このうち死亡件数は30~40%を占めています。
 
 脳・心臓疾患を未然に防ぐ目的で、平成13年4月に労働者災害補償保険法の改正により二次健康診断等給付が創設されました。(労災保険法第26条)
 定期健康診断で「血圧検査」「血中脂質検査」「血糖検査」「腹囲の検査または肥満度(BMI)測定」のいずれにも異常所見が認められる場合、脳血管・心臓の状態を把握するための二次健康診断および、脳・心臓疾患の発症予防のための特定保健指導が1年度内に1回給付されます。「現物給付」ですから健診や指導の負担は事業者、従業員ともにありません。(ただし、受診は二次健康診断等給付指定医療機関または労災病院(健診給付病院等)に限られます。また予防目的のため、既に脳・心臓疾患の症状がある方は対象外です)。
 令和2年6月には、特定保健指導の実施基準が新たに策定されるなど一部が改訂され、より予防的な側面が充実されました。(適用は8月から)
 
 『健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針』(平成8年10月1日公示、平成20年1月31日改正)では、「健康診断における医師の診断の結果に基づき、二次健康診断の対象となる労働者を把握し、当該労働者に対して二次健康診断の受診を勧奨するとともに、当該二次健康診断の結果を事業者に提出するよう働きかけることが適当である」とされています。
 事業者には二次健康診断を受診させる義務はないため、受診を強制することはできませんが、上記のように厚生労働省は二次健康診断の対象となる労働者の把握や受診勧奨を事業者に求めています。
 自社に二次健康診断等給付の対象者がおられましたらご活用されるのもよいでしょう。

11月は過労死等防止啓発月間です。
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