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産業保健看護職のひろば

相談員コラム

産保センターの活動から ー治療と仕事の両立支援➀ー
2022-05-19

産保センターの活動から

―治療と仕事の両立支援

産業保健専門職 西尾 泉 


2018年から産保センターで治療と仕事の両立支援が始まって以降、近年最も顕著なのが医療機関での両立支援の進展です。

一部の医療機関では、医療行為だけでなく患者の職業生活への支援も病院機能の一つとして位置づけ、両立支援を進めています。こうした医療機関では、両立支援チームを立ち上げ、一部の診療科に両立支援専門外来を設置している他、医療機関によっては院内全体で両立支援を進めようとしているところも出始めています。

2018年の診療報酬の改定による「療養・就労両立支援指導料」の新設以来、2回の改定※1を経て、今後ますます医療機関での両立支援が進むことが予想されます。

「療養・就労両立支援指導料」は、患者と会社が共同で作成した勤務情報提供書※2に基づき、主治医が患者に療養上必要な指導を行い、会社に診療情報(主治医意見書)※3を提供した場合に評価(算定)されます。

従って医療機関によっては就労中の患者に対し、あらかじめ病院で作成した勤務情報提供書のフォーマットを外来診療時に渡たしています。

こうしたことから、事業所では復職を控えた従業員から勤務情報提供書の作成について相談を受ける機会もあるかもしれません。

事業所では、復職時に本人から診断書が提出されていると思いますが、「復職可」「軽作業のみ可」のみ記載されている診断書も少なくありません。両立支援(復職支援)においては、治療情報と治療に伴う症状に対する可能な就業配慮を行うことが望ましいため、そのための情報を取得することは重要です。有用な診療情報(主治医意見書)を取得するには、主治医が患者の職務内容や勤務形態について具体的にイメージできるような勤務情報を提供することがポイントとなります。事業所で相談を受けた際には是非サポートをお願いします。

 

※1 対象疾患は、がん、脳卒中、肝疾患、指定難病、心疾患、糖尿病、若年性認知症。

また、診療情報(主治医意見書)の提供先も産業医、労働者の健康管理等を行う保健師、総括安全衛生管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者まで拡大。

※2 勤務情報提供書等の様式例は『事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン』(令和4年3月改定版)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000115267.html

※3両立支援で必要な情報は、症状、治療状況(治療スケジュール) 退院後又は通院治療中の就業継続の可否に関する意見 望ましい就業上の措置に関する意見(避けるべき作業、時間外・出張の可否等) その他配慮が必要な事項に関する意見(通院時間や休憩場所の確保、当面の措置期間等)など。

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