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産業保健看護職のひろば

相談員コラム

経営にも影響を与える対人逸脱行為「職場無作法」
2023-05-15

経営にも影響を与える対人逸脱行為「職場無作法」

相談員 中野 みどり


精神科医尾久裕紀先生のご講演を聴講する機会があり、その中で「職場無作法」(workplace incivility)について学ぶ事が出来ました。

あまり聞きなれない言葉でしたが、メンタル対応をしている中で大変参考になりましたので、一部ですが紹介させて頂きます。

 

○職場無作法とは

「加害者の攻撃意図が必ずしも明白ではないが,社交的規範に反した職場での非礼な対人逸脱行為」で、欧米では経営的にも影響が大きいと注目されている。

 

○経営的影響

・職場いじめの被害者は、離職意図の増加、職場満足度の低下、組織コミットメントの低下が見られるなど、仕事自体への影響もみられることが報告されている。

・組織に被害者が一人居ると、年間30,000ドル~100,000ドル(414万~1380万)の損害。

 

○対人逸脱行為の影響―職場無作法を中心に―

比較的軽度な対人攻撃は、

1)上司の目につきにくい、2)法による規制がない、3)暴力行為やセクハラと比べて加害者の罪悪感が薄い。といった特徴を有するため高い頻度で起こる傾向。

・頻繁に経験する労働者ほど、無断欠勤や逃避行動が多く抑うつ傾向も高い。

・意図的に職務努力を減らす、退職意図が高い。

・上司や同僚から無礼な行為を受けた社員は他人に無礼な対応をする傾向が高まる。

(最初の話し相手の無礼が次々と他の人に伝染)

 

○これからの職場はどうあるべきか ―やさしい職場VS厳しい職場―

・ゆるい職場?:単に易しい、関わらない~放置、必要な注意をしないというのは誤り。

・必要なことは言う、注意もする、成長に繋がる積極的支援は行うが、ハラスメント・対人逸脱行為にならないようにする。

1)基本的対応

・職位に関係なく相手を尊重し、丁寧に対応することが基本

・相手が不快になる言動は避ける。

・注意はすべきであるが注意の仕方に気を付ける。

・仕事の意味を説明する、質問には丁寧に答える。

・仕事の展望を時系列的に把握できるようにする、現在の位置を示す。

・結果だけでなく、努力したことや過程を認める。

・悪いところ<よいところ、両方を伝える。

2)職場いじめの予防介入に関する研究

・CREW(Civility,Respect&Engagement withWork)というプログラムが職場いじめの効果があったことが報告されている。(対人関係向上させるプログラムでもあり、他者への丁寧さや尊重を増加させることを目的)

・「Think CIVILTY 「礼儀正しさ」こそ、最強の生存戦力である。」という本も紹介して頂けました。本の中には、自身の礼節をチェックできるリストもありますので関心のある方は参考にしてください。

 

以上

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