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産業保健看護職のひろば

相談員コラム

ヘルスリテラシー向上のために出来ること
2024-12-12
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「ヘルスリテラシー向上のために出来ること」

                                       産業保健相談員 中野 みどり

 

最近は健康経営に関わる産業看護職も多く、「ヘルスリテラシー」への関心も高まっているようです。先日、順天堂大学の福田教授のご講演を機に、ヘルスリステラシーに関して学ばせて頂きましたので、紹介させて頂きます。

ヘルスリテラシーとは、「良い健康を維持促進するために情報へアクセスし、理解し、活用する動機付けと能力を決定する認知的、社会的スキル」(WHO定義)

健康経営優良法人の認定要件にも、健康経営の実践に向けた土台づくりとして「ヘルスリテラシーの向上」が含まれており、企業の業績向上のためには、従業員の健康管理・維持へ投資を行うことが重要と言われています。

それでは現代日本人のリテラシーはどうでしょうか。

2023年にジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社メディカルカンパニーが6か国を対象にヘルスリテラシー国際調査を実施したところ、日本のヘルスリテラシー自己評価は10点満点中5.4点で、6か国で最も低い点数だったとのことです。

「参考」中国(1位7.8)アメリカ(2位7.6) イギリス(3位7.4)

フィンランド(4位7.2) オーストラリア(4位7.1)

           

ヘルスリテラシーが低い際のデメリット  

予防サービス(健康診断・ワクチン接種)を利用しない

・治療や薬などの適切な知識に乏しい   

・病気やケガの兆候に気付きにくく悪化させやすい

・労働災害が発生しやすくなる

・救急サービスを利用しやすい

・医療費が高くなる

   

ヘルスリテラシーの活用(福田先生資料より)

「リテラシーを高めよう」ではなくその前にやるべき5つのステップ

1.相手のヘルスリテラシーレベルを「知る」

2.相手のヘルスリテラシーレベルに「合わせる」

3.必要なヘルスリテラシーのハードルを「下げる」

4.ヘルスリテラシーを「高める」

5.ヘルスリテラシーを「広める」

ポイントは、4.「高める」の手前に三つのステップがあること

企業の健康施策では、いきなり「高める」に着手しがちですが、まずは従業員のヘルスリテラシーレベルを調査し、実態を「知る」ことから始める必要があるそうです。

現代社会において、増え続ける医療費、そして高齢化社会──。長寿がもたらす二つの難問、その答えとされるのが予防医学で、労働人口の減少に伴い、生涯現役を目指して働きやすい職場環境づくりや、健康づくりが企業には求められています。

福田先生はヘルスリテラシー向上のためには、全く新しいことを始める必要はなく、いままでやっている産業保活動を、5つのステップに照らし合わせて再構築するだけでもよい。小さな事業所でもその企業らしく時間をかけて取り組むことできることをひとつひとつやっていくそれが大きな資産になると仰っています。

長年産業医として活動をされ、実際にリテラシー向上の結果を見てこられた先生のご講演は、説得力があり、日々の積み重ねの大切さを実感いたしました。

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