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相談員から一言 バックナンバー

『心の痛みのケアは今も、今後も長期に必要』

東日本大震災で被災された皆様へ心よりお見舞い申し上げます。また復旧・復興作業されている方々、ならびに暖かいご支援をなされている方々に深く敬意を表します。

 メンタルヘルス対策センター相談員としてメンタルヘルスと、この度の東日本大震災のことを思い巡らしていることが多く皆様とともに考えてみたい。 

 大震災で一瞬のうちに大切な家、人、思い出の品を失い呆然とし、その恐怖、悲しみ、不安、原発の放射線の見えないものえの恐怖、いらだち、生活、暮らし、家族関係の維持等大きなストレス状態を抱えながら、一ヶ月半たった今尚恐怖、不安、疲労、やりきれない気持ちで過ごされていることをご推察します。
  先日タクシーに乗りました。そして、運転手さんが「ボランテイアで震災現地に1週間いってきた。情報からみること、聞くことと全然ちがうよ。言葉にならない、言葉に出せない」とため息をつきながら教えてくれました。

 現地に向かってない自分が気おくれしながら「全然違ったことを教えてくれませんか」たずねると、「破壊物ひとつ片付けるのも只かたづければいいのではないのだ、写真をとって許可がでなけらば片付けられないのだよ」と私は「お疲れさまでした」としか言葉に出来ずあとは黙っていました。

 相手がいま必要なことは自分で確かめなければならないとメンタルヘルス相談の鉄則を自分に確認して車を降りました。

 神奈川産業保健推進センターに被災地支援として、フリーダイヤルが設置され運営されています。この相談から2つをお伝えします。 

 40歳ぐらいと思える母親が「被災地から離れていて被害を受けなかったのですが、震災から氷を入れたコップの氷のように頭の中がぐらぐら回っているような感じでした。それは、治療を受けて落ち着いてきたのですが、いつ地震がおきるか不安で眠れない時があるんです、こわかった、夫は被災地の人のことを思えば、被災地のひとはもっと大変だよというのですけど、頭ではわかっているけど不安なのです」と最初は泣いているようであり、すがるような相談でしたが、私たちも電話でそばにいます。付き添いたいと思っていますということを伝え相談を終了しました。

 つらい体験、つらい思いのなか、なんとか良い方向を見つけたいとの思いからの相談であり、怖い体験、不安、緊張を受け止める場を提供しているのだと強く思うとともに、心の痛みはすぐには回復できない、相手が不安、緊張、悲しみから超えるまで心の痛みのケアが必要であり多くの人に、長期にあらゆる支援が必要であることを確認しました。
 
 両親と生活している若い男性が「被災にあい職をなくしたが両親のため今の職場で働いている。しかし、上司との関係がうまくいかない。どういう立ち振る舞いをすればよいか分からない。
 コンビニなのでお客さんも被害にあった人たちであり一人一人声をかけるようにしているのですよ。今回この災害を通じて人と人がつながることの大切さ、チームワークが何より大切だと思いました」最初は上司への怒りの感情がぶつけられましたが、最後はこの度の被災から今後に向けての生き方の発見を語られました。被災地の人が買い物から支援されていることを伝え寄り添うためにも仕事を継続することを確認した相談でした。

 被災地の人が被災地の方を支えて生活している、そして彼らを取り巻く支援サービスの一つとして後方部隊としての神奈川産業保健センターの役割を実感できました。

  人が人によって支えあう、21世紀は物質から人にと言われてきたが、まさに、そのきっかけがこの大惨事から変化を起こせる、変化を起こしていくスタートラインに日本国民が立ったのだと自分の方向を見つけました。自分に何が出来るかわかりません。今は、人に寄り添うことの大切さと寄り添うことから相手の求めることに支援しようと決めました。

 一方、被害の直接の影響受けているメンタルヘルスの相談から神奈川産業保健推進センターが応援支援していることを皆様に伝えたい。

  医療従事者が被害を受け水道が止まり、電気がなく家族の生活も守らなければならない。しかし、医療従事者として看護職は従業員の健康管理、相談に応じなければならないなか、疲労が頂点に達しているのではと思われる看護職と出会いました。

 独居の男性が計画停電での怖い思いから、揺れに敏感になっていて生活が落ち着かない、早く目が覚める(早く寝るようになったから早く目が覚めるという生活リズムの変更であったが)のは病気なのではと心配している。

 地震で3日間自宅から外に怖くて出れなかった。地震の度に泣けてきた、1か月たってやっと落ち着いてきました等もっと個別な相談を受けているとおもいますが、働く人々は今も地震の影響をうけて心が痛んでいることが想像できます。

 医療従事者の方は従業員に、医療従事者の方は神奈川産業保健推進センターが皆様の支援に役立ちたいと考えています。

 北里大学医学部講師和田耕治先生の災害後の人々の気持ちの動きの中で、災害後時間の経過とともに深い悲しみを超えた働きが起こり新しい始まりがという図が紹介されています。

 このことをメンタルヘルス相談の目指すところとして取り組みたいと思います。

 神奈川産業保健推進センターでは、事業所の保健医療従事者への支援として、法律、産業医学、環境、メンタルヘルス、等で皆様への支援致します。事業所は震災の影響を受け経営の見直しから、保健医療情事者への変化も期待されています。

 神奈川産業保健推進センターでは少しでも皆様に役立つ支援を望んでいます。

 皆様の相談から支援を工夫しています。お待ちしています。
 
(文責)相談員  富山 明子
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