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産業保健看護職のひろば

相談員コラム

産業保健看護職の専門性とはー必要とされるスキルについてー
2024-08-06

産業保健看護職の専門性とは ―必要とされるスキルについて―

相談員 高清水 幸美 

 「産業保健看護職は何をする人?何ができる人?」自問自答したことはありませんか。私達は、専門職として事業所からどのようなことに期待されているのでしょう。

産業保健看護の定義(2022年4月、日本産業衛生学会 産業保健看護学会)に示されているように、産業保健看護は健康と労働の調和を保つことを目的として、日々、個人・集団・組織に対する支援を行い、その成果(目標の達成)を上げることを期待されています。

目標達成に必要とされるスキルは、私たちの専門性です。日々の業務での問題解決に必要となるスキルについて、私が迷い悩んだ時のよりどころにしている北尾誠英名誉教授の図書「産業看護 問題解決事例演習,日本看護協会出版会,1991」から、産業保健看護のスキルについてご紹介します。

北尾氏は、先駆者たち(三隅二不二著「PM理論」、R.L.カッツ著「管理者の3つのスキル」など)の成果を踏まえ、看護活動を「P=(Performance)」「M=(Maintenance)」「C=(Creation)」の3局面から全体として把握し、それぞれの軸に対応したスキル「T=technical」「H=(human)」「C=(conceptual)」をコアースキルに位置づけました。 以下に整理してお伝えします。

 

テクニカル・スキル

産業保健看護業務の遂行に直接関連した基軸である「P軸」を支えるパワーは、日常の業務を通じて、実務知識と実務経験に裏付けされて技能を積み上げていく。この過程で要求される専門技能である。

ヒューマン・スキル

対人関係や職場集団への適応に関する基軸である「M軸」を支えるパワーは人間に対するスキルである。

コンセプチュアル・スキル

「P軸」や「M軸」との統合、部外者や他職種との連携、変化の先取りなど、産業保健看護職をとりまく環境に創造的に働きかける局面が「C軸」であり、これを支えるパワーが「コンセプチュアル・スキル」である。物事の本質を洞察し、概念化することによって、職場の統合と革新を促進する原動力(問題解決能力)で、リーダーシップの発揮といってもよい。

 

このように、私達が行う日々の業務は、PMCスキルが要求されてきます。例えば「保健指導」は、テクニカル・スキルとヒューマン・スキルで行いますが、実施にあたっては、保健指導の必要性や就業時間内で行う事についての合意など、職場や組織の理解が必要となってきます。また、個別対応から問題解決に向けた連携・調整など、産業医や人事労務担当者、職場の管理監督者などの協力が得られ協働できるような働きかけが必要となりコンセプチュアル・スキルが要求されます。

新任期であってもCスキルであるマネジメント能力が要求されるのが、産業保健看護職の特徴です。一人職場が多い産業保健看護職にとって、日々の業務に看護の視点や役割を確認し、自己課題が見出せるような学びの機会が大切だと感じています。互いに成長し合えるような場づくりをしていきたいと思っています

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